映画『音楽』爆音上映会

day347

千歳からの帰り道、夜道の国道を走らせる車内で感嘆のため息ばかりついていました。なんとなく、「生きてりゃいいことあるな」とも。

 

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11/1(金)の夜、奥さんと一緒に新千歳空港へと向かいました。お目当は『音楽』という映画の爆音上映会。新千歳空港国際アニメーション映画祭のコンペティション作品として上映するということで、まさか北海道で観られると思っていなかったので発表を知ってめちゃめちゃ嬉しかったです。

音楽 | 第6回 新千歳空港国際アニメーション映画祭

というのも、僕はこの作品の原作漫画である「音楽と漫画」(自費出版漫画「音楽」の単行本版)が好きで何度読み返したことだろうか、分かりません。大橋裕之さんの漫画の中でも特に好きで、身近な人に貸して読んでもらったり、親友の誕生日に渡したりもしました。「音楽と漫画」内の作品「音楽」は、不良の高校生3人組が楽器と出会い音楽を鳴らしはじめるストーリー。詳しくあらすじを説明するのは野暮なのでしませんが、彼らや登場人物の心情が表情だけでなく間や余白からも想像させられる、読む度にグッとくるような漫画なのです。

 

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音楽の映画化に至るまで、作画枚数は40,000枚を超え、実に7年以上の歳月を重ねて完成を迎えた作品です。僕が初めて映画化の話を知ったのが2013年頃。前職で東京に居て、大橋裕之さんの半生を描いた漫画「遠浅の部屋」の出版記念イベントに参加した時に「音楽」の映画を作っているという話をしていたを覚えています。

今回の映画で採られた手法は、「ロトスコープ」。実写の映像をトレースしてアニメーションに起すという方法で、なんと岩井澤監督が自ら映像の撮影、編集を行いアニメーションを作成していくという非常に地道な製作期間を経て、世に出ることができた作品なのです。今年9月のカナダのオタワ国際アニメーション映画祭長編部門でグランプリを獲得。そして日本での劇場版初上映がこの北海道、新千歳国際アニメーション映画祭というなんとも記念すべき日でもありました。

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上映30分前に新千歳空港に着き、4Fにある映画館に向かうと既に開場を待つお客さんの長蛇の列。無事整理券をゲットして僕らも列に並びました。意気揚々と以前イベントで買った「音楽」Tシャツ(半袖)を着こみつつ。初めて空港の映画館に入りましたが、独立型の座席で背もたれが長めのため、深く腰掛けてリラックスして観賞することができました。客席数は約230席、前の方に座りちらっと後ろを見てみると多くのお客さんで席が埋まっていました。

映画を観ての感想。まず、いよいよ映画がはじまった瞬間は7年という歳月をかけて生み出された作品ということを思ってグッときました。7年。僕も転勤があったり、転職して北海道に来たりと色々あった。最初は原作をなぞるように、自分の想像していた風景やキャラクターの動きを観ていましたが、次第にこの作品の描く世界に衝撃を受けて、のめり込んでいくような感覚でした。登場人物が言葉を発するまでの「間」にやられる。坂本慎太郎さんの研二の声、朴訥さとローな感じが唯一無二の研二だった。坂本慎太郎の声をアニメで聴ける日が来るとは。そして、実際に漫画の中で自らの想像の中で鳴っていた音が鳴る。漫画の中で「ボボボボ」と記された音楽の衝動が、実際に音として(爆音で)表現されて、想像を軽々と超えてみるみる引き込まれる感覚に。特に森田という登場人物の描かれ方が印象的で最高に格好良かったです。彼が不良3人組の音楽を聴いた瞬間の回想シーンのアニメーションの面白さたるや、こんなの観たことない。ぶったまげました。また、ロトスコープで実際に音楽フェス(この映画のために企画された)を撮影しているので、楽器をかき鳴らす動きが非常になめらかでめちゃめちゃ格好良いのです。劇中に流れる曲の良さにも痺れました。この気持ちを言葉にしたいけど言葉にしたら野暮になってしまうような、とにかく観たら感覚から呼び起こされるような作品だと思いました。

映画が終わった後は、監督の岩井澤健治さん、プロデューサーの松江哲明さん、原作の大橋裕之さん、そして劇中歌を担当したトクマルシューゴさん、伴瀬朝彦さんのトーク。特に印象的だったのは、岩井澤監督の「上映できてホッとしている」、大橋さんの「『音楽』が、この映画を以って完成したと思う」という言葉。個人制作でやり続けて来て遂に上映を迎えられた重みを実感しました。また、松江さんからは「岡村靖幸さんの声が使われているシーンは他言しないでおきましょう」という言葉も。確かに、これから観る方には岡村ちゃんの出演シーンも見処だと思います。とても贅沢で、めちゃめちゃグッときました。

最後に、トクマルシューゴさんと伴瀬朝彦さんのライブ。トクマルシューゴはバンド編成で「Parachute」、「Rum Hee」など4曲を披露。まさか初トクマルシューゴのライブを映画館で観られるとは。ライブがめちゃめちゃ格好良くて、曲の作り出す世界観に自然と体が揺れて浸るような幸せな時間でした。その後、伴瀬さんとトクマルシューゴさん+バンドでの劇中歌の演奏。こちらも映画を観終えた後で、シーンを振り返りながらライブを楽しみました。トクマルシューゴさんが「サントラを作って欲しい」という話をしていましたが、是非とも欲しいなと。劇中歌が『音楽』の世界を織り成すようで本当に格好良かったです。

終演後、出口でお客さんを見送る岩井澤監督、松江プロデューサー、大橋さん。少し話をすることもできて、なんだか「こういう日があるから生きててよかった」と思える上映会でした。帰りの車の中でも、奥さんと映画の感想、ライブの感想を言いあって帰路に着きました。

2020年1月から全国順次公開。観賞前売券もすでにゲット済みなので、もう一度観られる機会がとても楽しみです。前売特典で作画の生ラフ版画も(限定数)!観る予定の方は是非チェックしてみてください!

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