優しさの意味をバンプの「ひとりごと」から学んだ(day116)

「自分を否定されたくないから人に優しくしているんじゃないかな」

ある朝、話し合い(9割9分僕に原因があるやつ)の中で妻から射抜かれた言葉。自分のエピソードを少し振り返ってみると、まさしくその通りでぐうの音も出なかった。

自分が相手に優しくすることで相手から嫌われないようにする。それは僕が僕自身の意識に植え付けた処世術ともいうべきものであった。具体的には相手の意見が如何なるものとも否定せずに傾聴したり、慰めや肯定する言葉を返したり。自分がどんなに忙しくても頼まれたことを手伝ったり、年上には無条件の謙譲を言葉遣いや態度で示したり。それって当たり前にすべきことなのでは?という方もいるかもしれないが、僕の場合は相手から否定の対象に遭わない予防線を張ったり、その場をうまくやり過ごすための手段の他無かった。そしていつしかそれを自分の妻に対しても施すようになっていた。何故僕は優しく接しているのに怒られたり否定されなきゃいけないのか。何故僕が謝ってばかりなのか。そんなことを思っていた。

結局僕は優しさを提供する代わりに相手に見返りを求めるような思考と言動をし続けていたのだ。それも相手のためではなく、根底にあるのは自分が嫌われたくないという畏怖。自分がそのような心境に至る原因として考えられるのが、小中学校時代のトラウマである。仲が良いと思っていた人から突然仲間外れにされたり、陰口を叩かれていることを知ったり。人から嫌われていると分かった時の混乱と、恥ずかしくて友達にも誰にも言えない孤独感。僕にも原因があったのかもしれないけれど、分からないし確かめようもない。文字通り苦虫を噛み潰していた。高校に入ってからはいつしかそんなことも感じ得なくなり今に至るけれど、人から嫌われないためにはどう行動するか、という思考はこの頃から形成されたと思う。大学でも社会に出てからも、優しいと言われることが多くなった。人に優しく接してきたつもりであったので褒め言葉として受け取っていたし、そのままで良いとずっと思っていた。

優しさについて答えのない自問自答を繰り返している最中、BUMP OF CHICKENヲタの妻から教えてもらった「ひとりごと」という曲。アルバムorbital periodに収録された一曲なのだが、歌詞を読んでみて驚いた。優しさについて悩み考えることを記した今まさに自分の有り様を歌ってくれているような曲だったのだ。あの藤原基央さんも自分と同じことで1つの曲にする程の悩みを抱えて生きていたのだと思うと急に親近感が湧いた。

ねぇ 君のために生きたって 僕のためになっちゃうんだ
本当さ 僕が笑いたくて 君を笑わせてるだけなんだ ごめんね

(BUMP OF CHICKEN「ひとりごと」より引用)

人に対する優しさは実は自分自身のためにやっているというジレンマ。本当は優しくしたいけれどそもそも優しさとはなんだろうという自己問答が描かれている。また、曲の中で「望む事は望まない事」という一節がある。優しさとは優しくしたくて、そう思われたくてする行動ではなく自分と相手とのやりとりの中ににじみ出る、見えないけれど確かにそこにあるもの。相手があってはじめて生成せれるもの。その優しさの在り方に思い悩んだときには、自分がやりたいことなのかをシンプルに立ち返りたいと思った。妻とひとりごとを聴き歌詞の意味について語り合い、いつしか気持ちは穏やかになっていた。

もし、同じような悩みを持った人がいたらorbital periodの11曲目、「ひとりごと」を聴いてほしい。一曲を通して聴くと優しさとは何かについて自分なりの解釈が得られるはず。30歳になって、学生時代から殆ど聴いてこなかったバンプのファンになった。藤原さんありがとう。教えてくれた妻ありがとう。そしてメリークリスマス。

BUMP OF CHICKEN『Merry Christmas』Full Ver. - YouTube